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TORTOISEの基本理念

●トータスライフ(トータスとは英語で「カメ」の意です)

地球に存在する「人」の生命の長さは、先進国を中心に年を追う毎に長くなっています。その一方、地球や人の造り出す『モノ』の生命の長さはそれに反比例するように短くなってきています。
–この相対する状況はどうにかならないものか?

近年、賢明な人たちはこれを疑問に感じ、なんとかしようとしています。私たちも、自分たちなりに何かできないものかとずっと考えていました。

私たちはバブルの時代に学生時代を過ごし、社会人になり、今まで、ごく当たり前に資本主義的消費生活をしてきました。しかし、それを不自然に感じ、一度立ち止まって考えてみようと思い、無計画に会社を辞めてしまいました。そして、自分の回りに在る「モノ」、自分の「生活」、今までしてきた「仕事」について考えました。何か「行く道」がわかるまで、立ち止まっていることにしました。幸いにも不況やデフレは失業者に優しい時代で、貧乏ながら、いろいろな場所へ旅をし、いろいろな人に会い、助けてもらいました。定まった家も持たず、亀のように、その日の場所がその日の家のような生活もしながら、さらに考えました。

そんな中、何だかぼんやりなのですが、これからの私たちの「行き先」が見えたのが、『トータスライフ』(地にしっかり足をつけ、尚かつ豊かな生活)でした。

最近「スローフード」という言葉を耳にすることがあると思います。これは、「ファーストフード」と相反する言葉として使われています。スローフードの「スロー」とは、だらだらと、やたら時間をかけて食べようということではなく、ふだん漠然と口に運んでいる食べ物を、一度じっくり見つめ直してみてはどうか、という提案です。そしてそうすることで素材や料理について考えたり食事を共にする人との会話を楽しめる生活を大切にしましょう、という考え方です。

そこで、私達は、このことが「モノ」に対しても同じことが言えるのでは、と思ったのです。

すなわち、それは、長く使われてきた「モノ」、長年培われてきた「わざ」、普遍的な「かたち」、また、現代に生まれ未来に残していきたい「モノ」「技術」「形」や、ゆっくりと大切に手で作られた「モノ」を、「トータスプロダクト」とし、民芸、伝統工芸、モダンデザイン等のカテゴリーにとらわれる事なく、私たちが考える『トータスプロダクト』を長く大切に扱っていこうという事です

それは、現代の生活を全く否定するわけではなく、一見、相対することも、「バランス感」を持ちながら、本当に豊かな生活の為に進めていきたいと考えています。

●日本とアメリカ

私たちは日本で生まれ、今日まで日本で育ってきました。お互いに、子供の頃からアメリカは大好きな国で、何度も仕事やプライベートで行った事もありました。そんな中、一昨年(2002年)、何気なく初めて応募したグリーンカード(永住権)の抽選で当選してしまいました。ちょうど無職中で今後の生き方を模索中であったこともあり、身を任せてみようとアメリカ移住を決断しました。

不思議な事に、移住を意識するようになると、なんだか急に日本の事、自分達の生まれ育った国の事が、気になり始めたのです。

生産の場を中国に奪われ、いや、差し出してしまった日本、の事です。日本はアメリカと肩を並べる資本主義的消費国です。でも、それは、戦後の事で、それ以前は、アメリカなんかとは比べものにならない位の歴史やそれとともに、伝統や知恵、技術がありました。アメリカはおおざっぱで大らかで、気を使わない国です。それはそれで良いところでもあるのですが、気遣いの在る、日本の優れた文化や生活を「モノ」を通して紹介する事をしながら、デザイン、歴史、国をバランスよくミックスして、古い「モノ」を伝え、新しい「モノ」を生み出していこうと考えます。

アメリカでも、日本と同じように『スロー&ステディ(ゆっくりと地に足をつけて)』の象徴である『カメ』から名前をもらい、社名を『トータスI』(タートルはウミガメ。トータスはカメの総称です。)と命名しました。ウミガメは、太平洋を渡り生活しています。カリフォルニア近海でクラゲを食べながら生活し、夏になると日本に卵を産みに帰ってくる種もあるといいます。私達、トータスも、太平洋を隔てた国を結び付け、生まれた国「日本」に何か新しい卵を産み落としたいと考えています。

●今からつくるモノ

過去の日本において、「作れば売れる時代」がありました。高度経済成長期やバブルの時代です。でも、今は違います。遠い未来はどうなるかわからないけれど、近い未来も違うでしょう。

そんな時に、私たちはモノを生み出す人として存在しています。だからといって、新しく生み出すことを放棄してしまったら、世の中退屈して仕方ないと思います。本当の豊かさがわかるのは今からです。いい時に居合わせることができました。

今の時代、たくさんの色々なモノを作る時ではないと思いますが、たくさん手をかけて、考えて、作る時、なのだと思います。だから今こそ、デザイナーの力が大切な時だと思います。

私たちは、そんなデザイナーやそれに応えられるような作り手や、使い手を探していきます。そして、今の時代にこそ作られるべきモノを世に送り出す手助けをしていきます。スピードや量が美しさや豊かさではない事を表現したいと考えています。

 

篠本拓宏・桂子 2003年6月

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